以前スペインへカミーノを歩きに行こうと計画していたこともあって、未踏のスペインについて色々と調べていたことがある。その中で興味を唆られたのが〈本を贈る〉という風習だ。
本の日
カタルーニャにおいて、『親しい人に本を贈る日』とされている。
当日のバルセロナ市街には本や薔薇が溢れているらしく、どうせならこの日に合わせて訪問したいものだ。
カタルーニャ
カタルーニャ語を話す人々の共同体や文化圏のこと。歴史的に南フランスとスペイン北東部の結びつきが強く、ピレネー山脈を介して連続性を帯びる地域を『カタルーニャ文化圏』と言う。
またピレネー山脈の南東部の斜面や地中海に囲まれた三角形の土地をスペインの行政区分として『カタルーニャ自治州』と呼ぶ。
スペイン訪問で専ら楽しみの種であったアントニオ・ガウディが活躍し、数多くの作品が林立するバルセロナもカタルーニャの一部である。
風習のはじまり
4月23日はセルバンテス(スペインの作家・代表作『ドン・キホーテ』)やシェイクスピア(イングランドの劇作家・代表作『ハムレット』『マクベス』『ロミオとジュリエット』など)といった文豪の命日である。
またドラゴン退治の伝承を持つキリスト教の聖人ゲオルギウス(カタルーニャ語ではサン・ジョルディ)が殉職した命日として祝日となっている。カタルーニャ地方の守護聖人ゲオルギウスが打ち倒したドラゴンの鮮血が赤い薔薇になったという伝承があり、この土地には男女が赤い薔薇を贈り合うバレンタインのような風習があった。
この風習と文豪の命日の縁にちなんで、カタルーニャ地方の本屋が『この記念日に本を贈ろう』というプロモーションとして、プレゼント用の本に薔薇の花が添えたのが始まりらしい。なんとも鮮やかで素敵な発想だ。
元々バルセロナはカタルーニャ語とスペイン語の両方の書籍出版を行う中心地であったこともあり、この風習がスムーズに受け入れられたそうだ。
新時代の本の贈り物
さて、この良き日に何を読もうか。
風習のはじまりに由来する文豪たちの作品にあらためて触れてみるのも良い。
オーディブルで聞くのも良い。本は自分のペースでじっくりと文字を追う楽しみが在るけれど、オーディブルの臨場感はクセになる。
普段なら30日間無料キャンペーンでまず試すと良いけれど、今ならオーディブルを2ヶ月無料で体験できるらしい。(5月11日まで)
ワイヤレスイヤホンを搭載した私は、もう随分前からオーディブルのヘビーユーザーなので、羨ましいこと限りない。
今使用中のワイヤレスイヤホンは既に1万円を優に下回る価格になっていて、後継機が続々と登場しているらしいから、オーディブルユーザーになることを検討している人には併せてオススメする。
(ちなみにiPhoneとiPadの両方とペアリングして使っている。なかなか便利。)
もちろん紙の本を包んで手渡すのだって、最高に素敵な瞬間になるだろう。はたまた今の時代ならば、一層のこと、電子書籍端末を贈るという手もある。
今はiPadにKindleのアプリを入れて使用しているけれど、やっぱり目にかかる負荷を考慮するとKindle端末は魅力的だ。最近、読書好きでKindleヘビーユーザーの知人に聞いてみたら、しみじみと良いと言っていたので、以来余計に心惹かれて仕方がない。
iPadを購入したばかりだから尻込みもしているけれど、真面目に購入を検討中だ。
〈本を贈り合う〉風習が日本でも流行ればいいのに、と祈りを込めて。