米粒遊歩 Tiny Journey

米粒による旅の手記、読書の記録、時々手帳

琥珀が視た夢・壱 植物の宝石・宝石界の異端児

みなさま、こんにちは。

先日久しぶりに書いたこちらの記事を読んでくださり有難うございます。

 

この記事で紹介したWEB小説投稿サイト『カクヨム』での小説執筆用ペンネームは蒼翠琥珀あおみどりこはく)】

これは好きな色を表しています。

【蒼翠】樹々が青々と生い茂っている様子
【琥珀】地質時代の樹脂の化石

魚型の舟で遡上する木彫りの河童たち

  • 山に登って見下ろすや向こう側に見えるを眺めるのが好き
  • 黄色やオレンジといったビタミンカラーを見ていると意識が活気づく

そんなことから、自分の代名詞にしてやろうと名付けました。 

 

特に【琥珀】に関しては、「こはく」という音の雰囲気や、その存在の特殊性に惹かれている部分もあり、自作の小説の中にも、をはじめ、その物性SF的に解釈して取り入れたりしました。

その際、【琥珀】について調べたことをこの記事でまとめます。

 

琥珀とコーパル

【琥珀】【コーパル】はその性質の違いから、区別して扱われています。

 

どちらも樹液(主に松脂)が固まり樹脂となり、土砂に流され堆積して地層の中で化石化したもの。鉱物ではなく天然樹脂

違いはその熟成度

  • 【琥珀】化石
  • 【コーパル】はその途上、半人前ならぬ半化石

【琥珀】は硬度 が高く宝石として扱われることがある一方で、【コーパル】は柔らかく傷が付きやすく、アルコールに溶けやすいという特徴があります。

 

琥珀になるまでの時間

琥珀とコーパルでは地層の成分や温度、圧力は勿論、埋まっていた時間が異なります。 

世界各地で産出する【琥珀】

約6500万年〜168万年前(第三紀;恐竜が絶滅して哺乳類が台頭する時代)のものが多い。

日本の岩手県久慈産の【琥珀】は約1億4000万年〜6500万年前(白亜紀;超大陸パンゲアの分離が進み、ジュラ紀に続いて恐竜が跋扈した時代)のもので世界でも珍しい。

半化石の【コーパル】

数10万〜1000万年程度(諸説あり)

 

つまり【コーパル】【琥珀】では年季の入り方が違う。

この違いから着想して、『未熟者なんですけどね』という設定で、『コーパル』というキャラクターエッセイ『無色茶論』(『カクヨム』のエッセイにリンク)の進行役として登場させています。

 

琥珀が魅せる様々な顔

琥珀はその有機的な質独特な形成過程により、『様々な姿』を見せてくれることが面白みの一つです。

琥珀の色はいろいろ

琥珀とコーパルは、鉱物とは違って有機質で出来ているため、分子中にばらついて存在している電子のエネルギー遷移や酸化状態気泡夾雑物の混入などにより様々な色の違いを魅せてくれます。

【琥珀】

飴色、黄褐色、蜂蜜色、白、黒、赤褐色と幅広く、青や緑はかなり珍しい

【コーパル】

檸檬色や橙色と比較的淡い色

 

琥珀は時の流れと共に変化 する特殊な宝石

琥珀の魅力は何と言っても数年〜数十年かけて『経時変化』すること。

これは鉱物系の宝石では中々楽しめない特殊な性質です。

  • 色の深みが増す
  • 透明感が増す
  • 色褪せる
  • 光沢が失せてヒビが入る

その変化も多様。

このように変化するのは有機物の宿命

年を重ねるごとに美しくなったり深みが増したりするのも、ボロが出たり朽ちてゆこうとするのも、まるで生き物と同じ。

琥珀は『生きた宝石』とも言えそうです。

 

そうなってくると、やっぱり琥珀を擬人化して表現したくなるんですよ。

コーパルにはエッセイを担当してもらっていますが、琥珀には長編小説『竜の爪』(『カクヨム』の小説にリンク)に登場してもらいました。

ただし、擬人化だけでなく、『あらゆる形』で登場しています。

様々な姿こそ、琥珀の魅力ですからね。気付くかな。

 

琥珀は透明感が美しい 

琥珀の特徴として特筆すべきは『透明感』です。

かと言って、残念なことに私自身は所有していないので、こちらを御覧ください。

美味しそうな飴玉のようです。

実際、成分は植物由来の有機物ですから飴に近いですが、この向こう側が見えるような透明感は素敵だなと思わずには居られません。

 

琥珀は太古のタイムカプセル

虫や植物、鳥の羽といった生き物の名残り、そして大昔の気泡が入っていることで、より複雑な表情を魅せてくれます。

太古の存在を現代に連れてやってきた『タイムカプセル』

見た目に楽しいと言うだけでなく、当時の生き物の事を知る糸口として、学術的にも価値があります。

  

参考文献

◉近山晶監修(2005). 『図解雑学 鉱物・宝石の不思議』ナツメ社
◉地質情報整備・活用機構編著, 青木正博監修(2009). 『宝石・鉱物手帳』JTBパブリッシング
◉宮脇律郎監修(2008). 『徹底図解 鉱物・宝石のしくみ』東京, 新星出版社

◉飯田孝一著(2015). 『琥珀』京都,亥辰舎

 

一冊丸々【琥珀】

この『琥珀』というシンプルなタイトルの書籍(参考文献4つ目)。

執筆にあたり、WEB検索は勿論、図書館で本を探したりもしましたが、鉱物関連の本の1ページとして琥珀が添えられることが多い中で、異彩を放っているように感じ、思わず購入。

琥珀 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.1)

琥珀 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.1)

  • 作者:飯田 孝一
  • 発売日: 2015/10/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

写真や文字が大きめでとても読みやすい(B5版

写真提供等、『久慈琥珀博物館』の協力を得ながら制作されたようです。

  • 前半:琥珀に纏わる歴史や形成過程、性質、産地などの紹介
  • 後半:宝石としての魅力、処理、鑑別法

大人も子供も楽しめる丁度いい加減で、内容はとても充実しています。

 

また、コーパルに関する記述は他の書籍に比べ圧倒的な情報量。

著者の飯田孝一氏は『宝石の鑑別家』とのことなので、鑑別に必要な知識として、琥珀とコーパルの違いを掌握されているのだと思います。

 

そうすると、シリーズで欲しくなってくる不思議。

翡翠 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.2)

翡翠 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.2)

  • 作者:飯田 孝一
  • 発売日: 2017/03/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
トルコ石 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.3)

トルコ石 (飯田孝一 宝石のほんシリーズvol.3)

  • 作者:飯田孝一
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

実は【琥珀】だけでなく、【翡翠】【トルコ石】拙作『竜の爪』(『カクヨム』の小説にリンク)にサラッと登場するので、この2冊も気になります。

『翡翠の森』(『カクヨム』の小説にリンク)という短編も書いてますしね。

(作品名では『カワセミ』と読みます。翡翠は宝石の『ヒスイ』と鳥の『カワセミ』の二通りの読み方がある)

 

琥珀が秘める面白みはここには到底書ききれませんが、興味のある方にはこの『琥珀』という書籍を強くオススメします。

本当に充実していて、美しく、読みやすいので。

そして、もし良かったら私の小説にもお越しください。と結局書く(笑)