米粒遊歩 〜自由と孤独と本と手帳〜

旅のあれこれを手帳に書き残すように。

旅は道連れ、ワインディング・ロードの洗礼

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挨拶もそこそこに、早速ガイドのJさんの案内で空港を出て、ドライバーのSさんが運転するTOYOTAのHIACEに乗り込んだ。

大きな車体を器用に操る大柄なSさんは至って安全運転だ。仕事だからという側面もあるかもしれないけれど、ハンドルを握ることで何か偉大な力を得たかのように気が大きくなるような人ではないのだろう。

おかげでこの旅の道中、移動は多くも安心して快適に過ごすことができた。

山岳国ブータンの山道

ブータンは日本と同じ左車線走行だ。

曲がりくねった山道やそれに沿って蛇行する川も含めて流れていく光景が似ている。別に運転するわけでもないから大して関係がないのかもしれないけれど、左車線に右ハンドルの車は同乗者にとってもしっくりくる。

 

そういえば山を貫通するトンネルは見かけなかった。少なくとも国際空港のあるパロと首都ティンプーの間では。

日本のトンネルや覆道の建設技術は世界的にもハイレベルだと聞く。

そりゃあ、海に囲まれた小さな島国で山がちな土地に、あれだけ縦横無尽に道路もトンネルも張り巡らせているのだ。必要に駆られて磨き上げられたとは言え、その筋の経験則は生半可なものではないのだろう。

山野が好きな者としては山を削ることに素直に頷けない部分もあるけれど、結局はそうした道があるからこそ各地の山にアクセスできる。だから少なからず恩恵を受けているし、そうした技術力について誇りに思う。

返せば海外から日本へやってきた人にとっては、トンネルだらけの土地をドライブするだけで面白いアクティビティになる可能性もあるのでは?などと車内で考えた。

大して海外の見聞を広めたわけではないから、一概には言えないけれど。

 

当然ながら、ブータンの山に沿った道はカーブの連続だ。乗り物酔いしやすい人も、そうでない人も、お守りがわりに酔い止め薬を持参することをお勧めする。

 

Sさんのソフトな運転テクでも、ワインディング・ロードの洗礼を受けることはある。乗り物酔いしやすい同行者は案の定……。

私自身は耐えた。荷物から手持ちの薬を取り出し、同行者にそっと手渡すくらいの余裕はあった。効果の程は判らないが、ちゃっかりと、いや念のため、私は前もって飲んでいたのだ。

川の対岸の丘に見える寺院

しばらくして見えてきたのは、最初の目的地タチョ・ラカン寺院だ。

外に出て風を浴びれば、同行者も乗り物酔いから少し回復するだろう。もしくは道端に生えているミントらしきものでも口にすれば、清涼感で少しは気が紛れるかもしれない。

ミントらしきもの

ゲームの世界に登場する『薬草』とは、なんと便利なアイテムなんだろうとあらためてしみじみしつつ、緑色の草を横目に川に架けられた橋に向かった。

 

さて、何が待ち受けているのやら。

心強い仲間

ちなみにJさんは日本に留学していたこともあり、英語に加え日本語も堪能だ。しかも同い年だった。じわじわと知ることになるが、ジャパニーズジョークまで軽快に操る楽しませ上手な人だった。

一方、ドライバーのSさんは少し年上だろうか。日本語が話せないからなのか、生来の性質なのかはわからないが、実直に仕事をこなす寡黙な人だった。かといって無愛想なことはなく、おおらかでごく稀に見せる楽しそうな笑顔は堪らなく素敵だった。

ブータンへの旅が、ガイドをお願いするという初めての経験が、大いに楽しく印象に残っているのは、間違いなくこの二人とパーティを組んだからだろう。

 

この旅の手配と彼らとの出会いを提供してくれたブータンの現地旅行会社【ドゥルック・サクラ・ツアーズ】の取り計らいに深く感謝する。