Kuzuzanpo la !
ブータンのことが忘れられないcometです
土地特有の食は旅先ので大きな楽しみのひとつである。今回はブータンでの食事事情について書こう。
旅立つ前の準備
塩辛いものは苦手だがスパイスの辛さは好きだ。グリーンカレーが好きだし、よく使うオリーブオイルに鷹の爪を漬けてカプサイシンを抽出したりもしている。だから日常のふとした瞬間にフライパンの中で鷹の爪が輪切り唐辛子を装着するなんて光景も見られるわけだ。(ヤラセじゃないよ)
しかしある筋の情報によるとブータンでの唐辛子の位置付けは野菜だという。油に抽出された辛味を楽しむのではなく、唐辛子そのものを食らうのだ。ブータンへ行くことが決まってから私はいそいそと訓練した。手配が済んでから出発までの10日間ほど毎日1本鷹の爪を食べた。もちろん乾物のままではなく料理の一部としてだが、この経験によって胃がシクシクするという体感を初めて理解した。
なぜそんなことをするのか?決まっているじゃないか。現地の味を十二分に楽しむために自分の舌と胃を鍛えたのである。どこからでもかかってきなさいと意気込んで旅立ったわけだ。
余談だけど本当はもっと緩やかに慣らしたかった。良い子は真似しないでください。
野菜市場
フォトジェニックなスポットなのだと連れて行ってもらったのがこの野菜市場。当時はまだインスタ映えという言葉はなかったのである。
明るく開放的でとても清潔。そしてとにかく広い。あちこちでうず高く野菜が積まれている様は圧巻だ。
米を売るエリアもあるし、根菜や葉物野菜、茶、果実なんでもある。驚くほど整然とした空間である。押し売りや大声でのたたき売りもない。
この市場では山積み・量り売りが基本スタイルだ。気に入ったものを自分で選び好きなだけカゴに盛って計る。日本でもこんなふうに買い物がしたい。
チーズもこんな感じであちこちに置いてある。つまり生産者直売所ということだろう。
そしてどうだろうか、この唐辛子の山は。種類も量も非常に多い。こういった光景がそこら中に広がっているのを是非とも想像していただきたい。
極めつけは薬味コーナーの唐辛子と胡椒で、見るからに辛そうだ。
期待と少しではない不安も胸に野菜市場を後にすることになった。
初日の夕食
いよいよか。夕食はホテルのビュッフェ。これがブータンの土を踏んで初めての食事だ。ガイドのJさん、ドライバーのSさんとはすでに別れた後。何が爆弾かわからぬまま興味の赴くままにプレートに盛る。
白米、パッタイ、チンゲンサイの炒めもの、ポテトサラダ、野菜炒め…中央の丸いものはピーマンの肉詰めならぬ、ウリのもち米詰めだ。菜食主義らしく肉は見当たらない。そして唐辛子も見当たらない。おかしいな、できれば最初に食べて辛くないものと紛らわしながらやり過ごそうと考えていたのに。
ビビリながらスープが怪しいのではと睨む。
見たところキノコのポタージュスープだ。しかしグリーンカレーのように白く辛いものも世の中には存在する。見た目だけでそう簡単に気を許してはいけないのである。同行者がまず恐る恐るすすってみる。途端にあー…これはと…言いたげな顔。まあ気をつけて飲んでみてくださいとのこと。同じく恐る恐るやってみる。
……辛…くない…
チラリと見やるとまあ満足そうにニヤニヤする顔がそこに在る。やられた。
この同行者は私をブータンに誘った張本人だ。10歳近く年下であるが、良い意味で軽やかに乗り越えてこういったエンターテイメントを提供してくれる。旅を共にするのに年齢差は問題にはならないのだ。
ところで当の味はというと、スープは…薄……薄味である。クリームと言うかバターベースなのか、サラサラしている。テーブルにあった胡椒で好みのように自分で調整するのがいい。先に挙げた他のメニューについてもどれも素朴でパンチの効いた味のものは一つもなかった。
仕方が無いので夕食ではきっと辛いものは食べないのだろうと結論付けた。
ホテルの朝食
朝食も同じくベジタリアン食である。もしかして…という淡い期待もあったのだがもう見た目でわかる。これらは辛くない。
そば粉のパンケーキに野菜炒め、素朴なパウンドケーキっぽいものとフルーツ。
唯一野菜炒めはもしかすると思ったが儚い夢だった。ちなみにフルーツの味については各々の想像にお任せするが、決して甘いということはない。これは口の中の水分を調整するためにある。
次回に続く
それにしても唐辛子料理には出会えるのだろうか。出発前に唐辛子トレーニングまでしてきたのにもかかわらず、食べずに終わったら何ともマヌケなエピソードである。
さて… 続きはまた次回!
それじゃあまた! Log Jege la !