おはようございます。
cometです。
やっと年賀状を書き終えてほっとしています。
というわけでミュージアム・トリップの続きを。
なんの話だっけ?
物好きが体力とお金をつぎ込んでやっているミュージアム・トリップについて、まるっと5日分を5記事でトレースしてみるって話です。
ほどよく時間が経って、わたし自身がもう忘れかけておるよ。
前回のはじまりの日の記事をまだご覧でない方はこちらを。
早速2日目の記事をごんごん書いていたのですが、はたと気づいたことがあります。
記事、長いな。
初日の記事も実は1万字超えてたんですぅ。すみませんねぇ。そのうちリライトするなり、記事を分けるなりなんとかしようとは思っています。
懲りずにどんどこ長編になっていく2日目の記事をどうにかしようと、ミュージアムのことを書いている部分を独立させることにしました。ちっとは学習したってことです。
『ミイラ』展へ行ってきた話を書きます!!!
ミイラ展と言えば…
めっちゃ空いてる〜!!!と乗り込んだ国立科学博物館のミイラ展は11/2からでした。
— Comet🦖ロングトレイルを歩きたい (@comet_41) 2019年10月31日
ゲート閉まっとるがな
#museum #trip #国立科学博物館 #ミイラ展 https://t.co/HFNbnKb7pz
という安定のボケをかましてから早一ヶ月。
諦めかけていたけれど来られてよかった。
ミイラって?
ところでミイラと聞いて連想するもの、知っていることってどんなことでしょう。
そもそもミイラって何?
わたしのイメージしていた『ミイラ』を列挙してみると
- 骸骨
- 成分はカルシウム
- エジプト
- ファラオ(位の高い人のみ作られる)
- 包帯
- 豪華なマスク
- 寝袋のシルエット
- 乾燥した土地でなければ作ることはできない
- 人工物
- 棺桶
…結論から言うと…
すべてが偏見だった!
ミイラ展の見どころ
無知すぎる自分に打ちひしがれつつも、めちゃくちゃ見ごたえのある展示で長居しました。ネット上に転がっている情報すら拾わずに乗り込んだのだけど、へえ〜の連続で楽しめました。知らないから余計にオモシロイんだろな。
本質的な部分のネタバレは無しで、こんな視点で眺めたら面白かったという内容をまとめておきます。
- ミイラの成分
- ミイラの作り方
- 死生観とミイラの役割
ミイラの成分
ミイラとなったものについて、元の人体に由来するものは灰分(燃やしたときに残る成分)だけだと思っていました。つまり主に骨。それ以外の部分はなんというか蝋のようなもので固められているのだと思っていました。
でもそうじゃなかった。
骨や歯の他に、元の皮膚や髪の毛も保存されたものをミイラと言うようです。
つまりカルシウムだけではなくタンパク質も残っているということ。ええ!?みんな当たり前に知ってるの?有機物なんて時間とともに微生物に分解されてなくなるでしょう?タンパク質って残るの!?と、結構衝撃的だったのですが…
要は分解されずに保存される条件が揃えば、人工的にであろうと自然環境中であろうとミイラ化するようです。かといって乾燥地帯であれば必ずミイラ化するわけでも、熱帯雨林でミイラを作るのが不可能と言うわけでもないというのがこの展示の見どころのひとつです。こんなにも世界各地で見つかっていたのかと驚きました。なんと日本でも。
ミイラの作り方
ミイラ作りと聞いてぱっと浮かぶのはやはりエジプトです。
アヌビス神に扮したミイラ職人(神官?)が台の上に横たえた亡骸を処理する光景…
エジプトへも行ってみたいと思っていて、以前ガイドブックに載っていたミイラづくりの手順を読んだことがあったので、余計にそのイメージが定着しているのかもしれません。
とはいえそんなに簡単にミイラができるはずもなく、エジプトでは長い歴史の中でミイラづくりの研究を続けて次第に成功率を向上させてきたようです。そのため、ミイラの様式を見ればいつの時代に作られたミイラなのかを推定できるそうです。
人工ミイラに関しては、各地の民族によってその土地の気候を乗り越えて編み出したミイラづくりの手法が紹介されており、中でも興味深かったのはパプアニューギニアのアンガ族のミイラづくりです。なんと言いますか、目からウロコだった。
そういえば、同じはてなブロガーのたまパパさん(@akabekosan)から事前にこんな情報を頂いていました。
なんと!面白いエピソードですね!
— Comet🦖ロングトレイルを歩きたい (@comet_41) 2019年11月5日
最後の晩餐…柿の種とは😅
ミイラ展も会期中に行けるよう日程調整したいと思います! https://t.co/OHA6MWzzye
柿〜?なんのこっちゃいと思っていたのですが、スルッと感心に変わりましたよ。
なんでも学術的な探究心から自らの身体をミイラ化するのに成功した日本人のミイラとのことで、その身を標本とすることで後世に残すとは凄い心意気だなと。生きている間の名声よりもペイ・フォワード。こういう方はきっとまた現世に転生してきて逞しく生きるのだろうと思っちゃいます。
肝心のミイラ化の方法は一切伝えられていないものの、そのミイラの皮膚組織の分析などによって原理を推定できそうな印象でした。てか、既にほぼできてんじゃないの?
さすがは本草学者さんといったところ。なるほどその成分に注目して、当時手に入れやすくこの方法に適用しやすいものと言う事ならやっぱ柿なのか〜と感心した次第です。
本草学というのは漢方薬やその原料である生薬について研究する学問です。『草』という字が入っていますが、植物に限らず動物や鉱物も対象です。中国古来の学問で、日本ではこの学者さんの生きた江戸時代が全盛期だったようです。
いや〜確かにね。
本革製品を鞣したりするもんね〜
…あ、…
あんま書きすぎるとゴルゴ13あたりに消されてしまうかもしれないので、ミイラ作りに関してはこの方が一番合理的にミイラを作る方法を編み出したのでは?と非常に興味を掻き立てられました、ということでこの話を締めくくりたいと思います。
しかしわたしが想像している方法だと、ミイラになるつもりで生きる必要がある。
…あ、…
もう黙りますね。
死生観とミイラの役割
さて、そもそも何のためにミイラを作るのでしょう。
何をきっかけにミイラを作るようになったのでしょう。
それは主に人の死生観と結びついているようです。世界各地へ拡散し、それぞれの土地で文化を築いた民族。それぞれの死との向き合い方や生き方が反映されている。
生きている限りいつかは死ぬのだから。メメント・モリ。
ちなみに『メメント』という言葉は、学生の頃この映画をきっかけに知りました。
ビデオを借りたんだったかな。いや違うな、DVD持ってるわ。買ったんかい。
本やビデオ(一昔前はビデオだぜ!)をタイトルだけ見て、ナニソレ?で手に取ることも多いのですよ。あからさまにホラーっぽいコーナーには近寄りもしませんけどね。
『死』は別にホラーではないですよね。ホラーを感じることがあるとすればそれは生きている間。なにより生きている人間が一番怖い〜
あ、…話逸れてますね。もはや恒例行事。
兎にも角にも、私自身は生きている人間の死への向き合い方を具現化したものがミイラなのかなと感じました。
『死』について特に悲観的に考えることはないのですが、『死』への収束に向けてどう生きるかは自分の人生観でもあるので、大事にしたいと思っています。
まだ読めていないのですが、この本がとても気になっています。
ポスターのあのシルエットは一体…?
ところで、この『ミイラ』展のポスターのモチーフ
このモチーフはチケットやフライヤーにも一貫して使用されています。
なにこれ?
ミイラと聞けば、ツタンカーメンのマスクしか思い浮かばなかった私にとって本当に謎の影でした。
ところがこれもまたミイラだったのです。
しかも冒頭の方で書いた私が当初イメージしていたミイラのほとんど対極と言っていいような…
ああ、もうコレ以上は書けませんね。
もったいぶっているわけではなくて、まだまだ会期は余裕があるし、興味のある方には是非足を運んでもらいたいのです。ミュージアムにどっぷり浸かると面白いのです。単純にネタバレになってしまうからということもあるけれど。
因みに会期終了間際は混雑率がぐんとアップするので、余裕をもって行くのがおすすめですよ。
充実した時間?
展示のボリュームはもちろん、私がメモをとったり、もう一度見に戻ったり、音声ガイドを繰り返し聞いたりすることも含めて、いつもそれなりに長いことミュージアム内に留まっているのですが、この日はなんと9−17時で『ミイラ』展に滞在していました。しかも休憩なし。常設展なども併せてではなく、本当に『ミイラ展』のみ…
こんなことは初めてでしたが、休日に行くと人混みに耐えられずにもっと早く出てくるので、それだけ心ゆくまで堪能したということでしょう。ひとりじゃないとできませんね。誰かと一緒に行くなら合わせるけど、それを予習にして一人で再訪する気がする。笑
それにしても9−17時て、仕事かいな。
流石にお腹すきましたよ。
仕事ならさっさと休憩するな、きっと。
ミイラ展へ行って思い出したことがある
そういえばこのミイラ展を眺めていて、大学時代のある講義を思い出しました。確か夏季休暇中の特別講義で外部の方を招いてお話していただくような回だったかなあ。
口腔科学に関する講義で、『歯』に関する話でした。
歯は最後の最後まで残りやすいので、科学的な調査に活用しやすいという内容。興味をそそられる話の展開で楽しい講義だったのを覚えています。その中で面白い話が出ました。
『この世から完全に消え去りたいと思ったら、樹海なんかに行っちゃいけないよ。何日も前から筋トレしたり体力つけたりして、当日も入念に準備運動をして、しっかり助走をつけて活火山の火口に飛び込むしかない。中途半端なところに引っかかるなんてヘマをしたらダメなんだ』
なんておっしゃるものだからみんな大爆笑。
何の話かと言うと、要は骨や歯などのカルシウム分が自然界で分解するには、硫黄というか硫化ガスや硫酸が必要で、地球上でそれらが確実にしっかり存在するのは火山や海底の熱水噴出孔なのです。
そういった環境中では微生物すら一切居ないのでは?という印象もあるのですが、驚くべきことにその環境が好きで適応できる微生物のパラダイスなのです。つまり有機物も無機物も無に帰す環境というわけ。
今ちょうど、オーディブルでこの短編集を聞いています。
第4章の『訪問者』という話。放射能汚染された地球が舞台で、人間は防護服や酸素ボンベによってギリギリ生きており時間の問題だが、放射性金属元素を利用して生きられるように適応した生き物たちが繁栄したという描写があります。
これも同じくダーウィンの『環境に適応できるものだけが生き残る』という適者生存の原理をベースにした話ですね。
あ、また話逸れてますね!
話を戻すと、樹海だと有機物はそのうち朽ち果てるけれど、骨や歯はしっかり保存されて、後にあれこれ調査されちゃうよ、色々わかっちゃうよっておっしゃっていました。
この話、実行に至るまでの過程がツッコミどころ満載じゃないですか?
- 何日もかけて身体を鍛える
- 食事もしっかりとる
- 火山を調べて選ぶ
- そこまで旅に出る
- 体力と気力を振り絞って登山
- 準備運動
- 助走をつけて高く遠く!
なにその『一世一代の晴れ舞台』感!?
そこまでするやつ死なんやろ
そうなんです。そこまでするやつはそのまま元気に生きていけますよ。この話のミソは『話の切り口ひとつで人を救うかもしれない』ってことなんじゃないかなあ。消え去りたいと思っている人に『ダメだよ、よく考えて』なんて言っちゃいけないって言いますよね。加速するって。
何も考えずに筋トレしろってことなんですよ。
身体が引き締まると自分に自信が付くし
身体を動かすとご飯が美味しくなるし
お腹が満たされると何でもできる気になります
…なんでこんな話を書いてんの?
ミイラの話じゃなかったの?
話が逸れ過ぎじゃろ?
ってそろそろお叱りを受けそうですが、残念ながらこれは逸れていません。笑
ミイラ化には細胞の腐敗や成分の分解が大きく絡んできます。特に骨や歯といった無機物の分解と皮膚や髪といった有機物の分解の話は、最後に挙げたポスターのモチーフになったミイラの形成過程の話の肝なのです。
ついでに言うなれば、他に『歯』に関する謎を秘めたミイラの展示もありました。
わたし自身、これまで『ミイラ』についてあまり深く考えたことはなかったのですが、なかなか面白い研究分野だなと感じました。機会があったらミイラを研究する人達の話を聞いてみたい。何がきっかけで興味を持ったのかとか、面白さとか、どんなところで調査するの?とか、実際マジで苦労してることって?とか。
ミュージアムの展示でよく登場するX線回折、DNA分析、CTスキャン、放射性炭素年代測定などを駆使してわかることや技術そのものにも興味があります。
さて、年末年始は休館になるミュージアムも多いけれど、新年からミュージアムも言ったりしてみようかなあなんて思っちゃった人は、まずは足腰鍛えておきましょうか。
美術館巡りをするには、まずスクワットやウォーキングなどで足腰を鍛えることをお勧めします
— Comet🦖ロングトレイルを歩きたい (@comet_41) 2019年11月8日
そして良質な睡眠をとる
気持ちだけはアスリートになったつもりで、気合いを入れて臨む
やりきった後のごはんは美味しいです
ありがとうございます https://t.co/gE6vlHtpf9 pic.twitter.com/TqGEf5ICaa
では引き続き、よろしくお願いします。