旅に出る時はいつも一冊のノートを用意する。
旅に必要な情報、旅先での思い出を蓄積するのだ。全てデジタル化してしまえば良いのかもしれないけれど、紙のノートだからこその楽しみ方もある。
旅先での時間はあっという間に過ぎていくし、旅から戻ったあと、いつまでも旅の気分で浸っていられるわけでもない。だからこそ手軽に〈記憶の断片〉を書き留めておける〈場〉があると、新鮮な〈その時の感覚〉を残しておくことができる。
勢いよく過ぎ去っていく時間がより充実する。1冊の小さなノートがあるだけで。
〈ノート〉と聞いて思い浮かべるものは人それぞれだろうけれど、私が愛用しているのはコクヨの測量野帳だ。測量や野外調査などに向けて考案されたフィールドノートで、表紙が固く、立った状態でも書きやすい。
雑記的な使い方なら、3種類のうちSKETCH BOOKという3mm方眼のシンプルなフォーマットが断然使いやすいだろう。
使用した測量野帳もストックしてある測量野帳も、共に無印良品のPPボックスに保管している。こんな風に省スペースに収まるのもいい。
これまでの歴戦の測量野帳たちはその風格を断面に宿しており、どれ、などという野暮な質問をする必要がない。
測量野帳を気に入っている理由の一つは、この〈使い込んだ感〉だ。
どんなものでも使い込めば風合いが変わる。使い込むほど良い顔になる革製品のように、測量野帳のくたびれ具合も様になっていて魅力的だ。
野外での使用を想定した測量野帳は、過酷な環境や時間経過にも耐える非常に頼もしい存在だ。長く使用すると角の部分は傷んでくるけれど、頑丈でノート自体がバラバラになることはない。
繕いながら使い続けるのも味だ。
補修しながら使い込み、自分仕様の1冊に仕上がってくるとより愛着が湧く。これもまた、かけがえのない思い出になることは間違いないだろう。
また、記録のためだけではなく、旅のチケットの一時保管や収集にももってこいだ。
測量野帳の表紙裏にクリップでチケットを挟んで保管したり、旅先で立ち寄ったお店のショップカードを挟んでみたり。
毎年発売されるTRAVELERS FACTORYのステッカーから、気に入ったテーマ選んでペタペタ貼ってみたり。
カスタマイズして自分のためだけの使い勝手を追求できる。
これが楽しいのだ。
何よりコンパクトで軽い測量野帳は身軽に旅をしたい者にはピッタリだ。
測量野帳は薄くて小さいから荷物の隙間に忍ばせておけるし、スムーズに取り出しやすい。取り出すのにもたつくと、もういいや、と本末転倒になってしまいがちだから、これは重要事項なのだ。
一冊72gの頼れる相棒
それが測量野帳の魅力だろう。
スタンダードな野帳をマスキングテープやステッカーでカスタマイズするもよし、古墳や琵琶湖などをモチーフにしたご当地限定野帳をその土地の旅の記録にするもよし。
コラボ商品が沢山あるのも楽しみの一つ。オリジナルの野帳を出してるミュージアムもある。最近は定番のグリーンの他にもレッドやイエローも。
コンパクトな仕様の中に紙がぎっしりと詰まったコンパクトな測量野帳は、1冊200円程度でコストパフォーマンスも申し分ない。
それにずっと変わらないという良さもある。
測量野帳は1959年に発売されてから、仕様変更されておらず、同じ感覚で使い続けられる安心感がある。
慣れた空間と書きやすい紙質、いつもどおり手に馴染む感覚。こういったことは使い勝手に静かに響く。
野帳でなくとも、ノートを一冊持って出かける習慣があると便利だし役に立つ。
是非、お気に入りのノートを見つけて、旅を充実したものに。