ある日の昼下がり。
アイスカフェラテを入れて一人がけソファに身を沈めた。慣れた手付きで、ソフトを挿しっぱなしのレトロな小型ゲーム機のスイッチを入れる。
毎度のことながら、懐かしい画面に歓喜する。
中世ヨーロッパをモチーフにした舞台設定のファンタジー感溢れるコンピュータRPGが多かった時代に、あえてサイキックSFとも言える描写や世界設定に震えた。
その世界の片隅で語られる言葉の一つひとつにまで緻密にこだわり抜かれていて、何度見ても唆られる。懐メロとはMOTHER2のシーンごとに流れるサウンドのことであると言っても過言ではない。
子供の頃に出会った『任天堂』のファミコンゲーム『MOTHER2 ギークの逆襲』。
大人になった今でも、あんな風に世界を旅してみたいと憧れ、懐かしさの極みとも言える姿のゲームボーイミクロ(メーカー生産終了)とゲームソフトをあらためて入手した。
暇さえあれば『MOTHER2』の世界にダイブする。
せめて、この世界観に浸ろうと。発売から25年経った今も、決して色褪せないのだ。
むしろ黒電話なんて、今では博物館に殿堂入りしそうな時代性を感じるものまで自然な姿でそこにあるから、楽しくないわけがない。
ゲームが好き、というよりは、『MOTHER2が好き』なのだ。
(これは前作『MOTHER』の画面)
ほぼ日手帳との出会い
忘れもしない2015年の秋。
今は閉店してしまった地元のイトーヨーカドーに入っていたLOFTでの奇跡の遭遇。
ただ通り過ぎようとしていただけなのに、視界の片隅をかすめた何かが無意識に二度見を促した。
そして目にしたものは、これくらい輝いていた。
どこか見覚えがあるような光景が広がるMother2の世界。ソレはその世界で見かけたキャラクターたちに、ぎっしりと埋め尽くされていた。
2016年版の『ほぼ日手帳』という一日1ページの手帳のカバーである。
それまでMoleskineのマンスリーを長らく愛用していた者にとって、それはあまりにずっしりとしていて、厚みがあった。
一体、どうやって使えば良いのか。
なんて考える余地はなく、一度手にすると、どうにも手放せず、気づいたら連れて帰っていた。(注:お会計済み)
Mother2の世界
Mother2に登場する様々なモチーフは、世界各地のありとあらゆるものがモデルになっている。謂わば、この地球まるごと。
よく見ると、タイトルにもさり気なく表れている。
(これは前作『MOTHER』の画面)
子供の頃はあまりピンと来なかったことも、大人になって振り返ると、何が、どこがモデルになっているのか、再発見する楽しみがある。
大人も子供も、おねーさんも。
(1994年の発売当初のCMで繰り返されたキャッチコピー)
コピーライター糸井重里氏のこの言葉が、耳に残って離れないのは流石としか言いようがない。何より、今になってその意味さえも、上書きされたように思う。
手帳カバーを眺めているだけで、主人公・ネスのように小さなリュックを背負って(特にカブトムシに託された宿命は背負っていないが)、方々へ赴きたい気持ちが沸々と湧き上がってくるから不思議だ。
歴代のほぼ日手帳カバー
あれから5年。毎年登場するラインナップから気に入ったものを選ぶうちに、手帳カバーが次第に増えた。こんなことは人生で初めてだ。
懐かしい思い出に浸るように、アルバムを見返すように手帳を眺める。
まさかこんなことになるなんて、思いもよらなかった。
左から順に〈CAST〉〈サターンバレー〉〈memories〉〈3ばんめのばしょ〉。どれも思い出深い『MOTHER2』の光景が切り取られた手帳カバーだ。
毎年「コレが最後!」と思ってるはずなのに、自分でも驚いている。
とはいえ中身の手帳本体も毎年更新使用している。
その保護カバーとしての役割を果たしてくれていて、そのままコレクションになりつつある。
ちなみにレフト式週間手帳のWEEKSも……
『どせいさん』はお気に入りすぎて、用途別に2冊持ってた。
2020年も『MOTHER2』
『ほぼ日手帳』との出会いのきっかけを作ってくれた、Mother2の〈CAST〉の手帳カバー。なんと2020年のラインナップに、プレミアム感のあるヌメ革の〈CAST〉が登場。
育てたい。これは……育てたいぞ!
と思いつつも、手持ちの手帳カバーの数や、価格に尻込みして、何度も何度も諦めようとした。
が。
何ということはない。
後悔もしていない。
実際、迷ってなどいなかったのかもしれない。
日光浴させたりしつつ探り探り育てよう、という決心の元、カバーコレクションにお迎えしたのである。
何ならガシガシ使って、革を鍛えたいくらい。
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