おはようございます
cometです
恐山の話の続きです。
うっかり三途の川を渡っちゃてた〜…なんて言ってたけど、タイムリーにも恐山へ行ったことのある人に遭遇して話していたら、どうやら違う可能性が出てきました。
地図上はひとつの川だけど、車道のすぐ横に歩道があってそこに赤い橋が架かっている。その赤い橋を渡ることを【三途の川を渡る】としているようだった。
確かに赤い橋は見た覚えがある。なんでも渡りきっちゃうとあの世行きだから、途中で戻らないといけないらしい。
なんとまあ。
それはさておき、宇曽利湖の極楽浜へ向かいます。と見せかけて、この土地の地質の話をします。
そんなん、おもんない?
石が白い理由
前記事(本記事冒頭にリンクあり)でも書きましたが、この一体は火山帯です。ゆえに火成岩がごろごろしています。
白っぽい石が多い。そしてどれもゴツゴツしている。河原に転がっている丸っこい石とは似ても似つきませんね。ただ、手前の真ん中あたりに乗っかってるのは動物の骨っぽく見える…
岩石の分類
中学生の頃、理科で主な岩石の分類を習ったように思います。この眼の前に転がっている石たちは何だっけ?
そんなわけでちょっと岩石を分類してみます。
雨風に侵食されて削られたり、川底を転がって角が取れた粒子たちが、積もり積もってギュウギュウに押し固められてできた岩石
化石が紛れ込んでいるのは堆積岩です。
もちろんここで取り上げたいのは【火成岩】
どこで、どうやって固まるかで大きく深成岩・火山岩の2つに分類します。
- 地下深くで
- ゆっくりと冷える
- 結晶が大きく育つから
- 大きめの斑晶(鉱物に含まれる成分の結晶)でできた岩石になる
- 地表や地表付近で
- 急激に冷える
- 結晶はほとんどが大きくなれずに
- 斑晶と石基(ガラス質の小さな粒)でできた岩石になる
岩石の色
ここで改めて、さっきの石っころの写真をもう一度見てみましょうか。
ふむ。
大きな結晶は殆ど見られないから【火山岩】っぽい感じがします。そして白のインパクトがガツンとくる。
岩石の色によってさらに分類することができます。
ここでは【火山岩】に注目。SiO2(二酸化ケイ素)の含有量によって分類されます。
※( )内の値はSiO2の割合
- 流紋岩 rhyolite(70 % 以上)…白っぽい
- デイサイト dacite(62 - 70 %)
- 安山岩 andesite(53.5 - 62 %)
- 玄武岩 basalt(53.5 % 以下)…黒っぽい
中学生の教科書では黒やその他の色付きの鉱物が多く全体として黒っぽい岩石が玄武岩、逆に石英や長石が多くて白っぽい岩石が流紋岩だと習いました。
透明な石英の成分がSiO2(二酸化ケイ素)なのです。なんならガラスの成分といってもいい。SiO2はシリカと呼んだりもします。
噴火の様子を想像する
さっきの写真の白にちょびっとだけ黒雲母っぽい成分が混ざっている石は流紋岩っぽいですね。恐山の周辺の岩石は流紋岩やデイサイト、安山岩がメインのようです。
因みに最後に噴火が起こったのは1万年以上前と考えられているようです。記録にはないらしい。でもこの一帯に散らばる岩石からその様子を想像してみることはできます。
白っぽい火山岩、つまりSiO2が多く含まれている岩石の元になったマグマは粘度が高いと言われています。つまり、熱々でねっとりとしている。だから噴火する時もさらさら〜とは出てくれないため、溜めに溜めてドカンと激しく破裂する。
ここもかつて激しく噴火し、火山噴出物が辺りに放出され、カルデラができ、やがて外輪山に囲まれた秘境の地となった。目の前の石っころを眺めながらそんなふうに想像してみると、なんとも感慨深いような気がしました。
日常の中で満員電車に揺られながら、そんなこと考えたりしないしなぁ…
黄色い物質の正体
さて白っぽい石たちの間を歩いていくと、そこここにコインが散らばっています。お賽銭でしょう。
しかし黒ずんでしまっていて、もはや恐山菩提寺の維持費としては使えないように思います。
それでもやはりここに置いていきたいという強い気持ちがあるのか、みんなが置いているから右へ倣えなのか…
わたしはここには置かずに、菩提寺を出たところに併設されているお土産やさんで恐山手ぬぐいを購入しました。少しでも菩提寺を維持するための足しになればいいなあ。
歩いていると、周りで黄色い火山ガスが吹き出していたりして、ここが活火山であることが実感できます。また、バス車内で感じたあの香りもふわりと感じられます。
黄色い何かがべっとりと溜まっている箇所もありました。
硫黄ですかね。水の流れにのって沈殿しながら溜まっていったのでしょう。そして水が干上がってこんなふうに。これだけはっきりと痕跡が残るということはそれなりの量の硫黄がこの地の水に含まれているということですね。
入口付近にある温泉も当然硫黄泉だし。
湖に近づくにつれて小さな池のようになっているところもあって、所々で底からガスが湧き上がるのが見えました。明らかに泡がとめどなく吹き出しています。水の波紋ばかりで、気泡がポコポコ浮き上がってくる様子をうまく写せなかったのが残念です。
そういえば、恐山は霊場としての存在感が大きい地ではありますが、地質学的には金鉱床として有名だそうです。
爆裂火口の中にできた熱水湖底のヘドロに金を含む地層があるのだとか。金の総量は多くはなく、経済的な価値を見出すような規模ではないとのこと。量ではなく、そのでき方が注目されているようです。
盗賊野郎がけしからん行為に及ばないか心配で書こうかどうか悩みましたが、まあ採掘しようにも熱水の中だし、火山ガスにやられて中毒を起こすのが関の山かと考えました。
なにも金の塊が埋まっているわけでもないし。大規模に掘り起こしてヘドロをかき分けていたらバレバレ過ぎます。
そうこうして水の流れやその跡を追っていくと、自然と湖の方に足が向きます。
静かな浜でしばらく過ごしました。何をするでもなく、ただ歩く。
ここに積まれた石は流紋岩以外に安山岩もありそうですね。小さなお地蔵さんの安定感は中々のものです。
次回、いよいよ最終回です。(たぶん)