ずいぶん寒くなって、読書の秋はいつの間にか彼方へ。
でもこの秋は外で過ごすことが、そして本の中よりも、車窓の向こう側を眺めていることが多かった。いよいよ冬本番となって、今度は引きこもるというよりも、『読んで書く』というアクティビティに専念するつもりだ。
一年に一度の祭典
ブログとは別に小説執筆の活動をしているWEB小説投稿サイト『カクヨム』(PN:蒼翠琥珀@aomidori589)では、年に一度、冬の間に、WEB小説界で最大級のコンテストが開催される。
エントリー数も年々増えているようで、受賞、書籍化の流れを目指す者たちを中心に、今年も早速盛り上がりを見せている。
賞と書籍化
第一回のコンテストで大賞を受賞し書籍化された『横浜駅SF』(柞刈湯葉 著)は、カクヨムでも読みつつ、Audibleでも『全国版』と併せて何度か聞いた。
日本のサグラダ・ファミリアとも言われる横浜駅を舞台に、18きっぷを手にした青年が小旅行し、ついでに世界の構造に変革をもたらす引き金を引いてしまうお話である。
自己増殖し本州一帯に蔓延ってしまった横浜駅で細々と、時に狡猾に暮らす人々、横浜駅の侵蝕と抗う者たち、JR各社も個性的に描かれていて、とても面白い。
鉄道好き、旅好きにはもちろん、SF的な視点でもわかりやすく面白い発想が盛り込まれているので、一見の価値はあると思う。そう。取り上げているものが身近だからこそ、わかりやすく、ご当地ネタも満載でニヤリとしてしまうタイプの世界観なのだ。
ついでに書籍化だけでなく漫画化もされているようで、その画が本作の雰囲気にこれまたピッタリでとっても気になっている。
さて、今年第8回となる通称『カクヨムコン』は、間口の広いコンテストで参加しやすい。カクヨム自体、どこか慣れない者でも温かく迎えてくれるような土壌があるのだ。
さらに募集するジャンルやテーマ、賞の種類も毎年趣向が凝らされたものが用意され、今もどんどん発展しているような勢いがある。
今年は応援がメインか
今回、私自身はこの機会に出せる新作がない。
『カクヨム』の近況ノートではお知らせしたけれど、実は夏以降、身体の不調で暫く休筆していたのだ。だからとりあえずは、読者として参加することにした。
コンテストの一次選考方法は『読者選考』
アクセス数や読者の『いいね』『応援してます』を意味する♡や、作品の評価である☆の数が、読者選考の指標となる、と考えられている。このあたりの数値的なパラメータは、付ける側の基準が様々なので賛否あるのが現状で、コンテストが抱える課題でもあるのかなといったところだ。
ただ、だれでも気軽に応援できる方法としては素晴らしい。
エピソード毎に用意されているコメント欄で作者とコミュニケーションを取ることができるのも、書籍とは違った楽しみ方ができるWEBの小説ならではの楽しみ方だろう。
作品のレビューを書く
それとは別に、☆の評価と共に作品のレビューを書くこともできる。
こちらはある程度読み込まないと感想なんて書けないはずだから、それなりにプッシュする力があるように思う。何よりレビュー文も独立して投稿され、『新着レビュー』の欄に随時更新されるので、次に読む作品を探すユーザーの眼に留まりやすい。
この記事のタイトルとした〈読んで書く〉とは、まずこの〈レビュー文〉を書こうかな、ということだ。
日頃より付き合いのある作者さん達を応援したいのと、真新しい作品やまだ見ぬ作者さんを発掘する良い機会なので、視野を広げるためにもできるだけ沢山読んで、振り返りのためにレビュー文として感想を言語化しておきたい。
それもまた、文章を書くトレーニングになると思うのだ。
自作も一応
とはいえ、作者側として何にも出さないのも何だか淋しいので、既出の作品をコンテストの片隅にしれっと置いておくことにした。
昨年、短編賞に3作エントリーし、いずれも読者選考を通過して最終選考に残った。
そのうちの1作『二十四逝記』(PN 蒼翠琥珀)をそっくりそのまま。
あらすじ・紹介文やタグの設定を少し変えたくらいで、本文は何も変えていない。
新たな出会いのきっかけになったらいいな〜という布石として、また、構成で少しばかり遊んだ作品なので、初めて読む方にもそのあたりの感想をいただけたりしたらラッキーなんて淡い期待を込めて。
新作は……
コンテストのエントリー期間は1月末まで。
まずはリハビリの意味も込めて、沢山読みつつ、コメントやレビューを書く。
できれば短編を1つか2つ出したい。
構想はあるけれど、書けたところまで公開して続きを書いて、というスタイルが私には向かないことは体感済みだ。作品として完結させることができたら出すと決めた。
むしろ無理をして、中途半端なものを出したくない。
初めのうちは右も左もわからないし、どんな駄文でも怖いもの無しだったけれど、読んでくれる人が、それも好意的に受け止め、コメントをくれたりする人が増えるほど、緊張感が高まるものだと知った。
だからこそ、『推敲』と言う名の〈読んで書く〉をできるよう、ひっそりと構想を形にしたい。
読書周辺の環境づくり
快適に読書するためには、やっぱりその環境も大事だろう。
私の場合、まず今の仕事は通勤時間が長いので、その移動中に快適に読めるよう、春にiPad mini 6を入手した。
小さくて軽いので、持ち歩くためのiPadとしては最適なモデル。
適度な画面の広さで、ちょこちょこっとブログの記事を書くこともできるから、読書するには充分に快適だ。
風呂でも読書
iPad mini 6を購入して、はじめに調達したのはグリーンの爽やかなカバーだった。
それももちろん使っているけれど、今使用頻度が高いのは防水・耐衝撃性のカバーだ。
元々は雨や結露が気になる環境でも気兼ねなく取り出せるよう、アウトドア仕様にする目的で入手したカバーながら、最近はiPadをお風呂に持ち込むことも多くなった。
しっかり身体を温めるために100まで数える……代わりに、ちょこっと読書するのだ。
気分によってはワイヤレスイヤホンとの合わせ技で、Audibleを聞いたり、Prime videoでアニメを視たりすることもある。映画だと長くてのぼせちゃうので、その場合はアニメの一話を半分ずつを見るくらいが丁度良い。
12月に入って読者選考期間が始まったのを皮切りに、ここ数日は『カクヨム』でフォローしている短編や連載作のエピソード数話を読んでいる。2月上旬の選考期間終了まではきっと続くだろう。
まとまった読書時間をとれたら最高だけど、断片的な時間でもスムーズに読書に充てることができれば、意外と快適に読書量が増えると実感している。
Audible休会
これまでよく話題に挙げてきたAudibleながら、実はつい先日、休会申請をした。
〈退会〉ではなく〈休会〉である。
満を持してサブスクリプション化したAudibleの月額使用料は1,500円。
元々はそれで1冊と交換できるコイン付与と、30%OFFで購入できるというだけだったから、サブスクリプション化の知らせを受けた時は「地道にユーザーが増えたんだなあ」と感慨深かった。
何より公開されている作品数が爆発的に増えた。
とはいえ、聴く頻度が低い時の〈聴き放題料〉としてはちょっと勿体ない。
どうせなら、この冬の〈読んで書く〉のお供として、珈琲やチョコレート代に充てることができた方が嬉しい、というわけだ。
実はAudibleには『長期間の旅行や出張などの間、お休みする』という親切なサービスがある。年に一度、という制約はあるものの、1,2,3ヶ月のいずれかの期間を指定して、〈聴き放題〉を停止することが可能だ。
もちろん〈休会〉中のサブスクリプション料の請求は無い。
休会中でも、これまでに購入した作品を聞くことは可能なので、ふとした合間に楽しむこともできる。
サービス提供初期のまだ作品数が限られていた頃に、じっくり考えて毎月一冊ずつ手に入れた作品がいくつか手元に残るから、〈聴き放題(一部有料)〉となってから、それはもうザクザクとダウンロードしてきた作品は一旦置いておいて、初心に還るように振り返ってみてもいい。
これでサブスクリプションをあまり使わない後ろめたさから一気に解放され、気兼ねなくWEB小説を読み進めることに専念できそうだ。
実質的な出費以上に、気持ち面でのネガティブ要素は排除するに限る。
P.S.
お暇なときにでも、こちらへもお立ち寄りいただけましたら嬉しいです。
*カクヨムWeb小説短編賞2022『エンタメ総合』にエントリー
*総文字数10000字・全24話
*12/1から12/24にかけて、毎日お昼の12時過ぎに更新
トボけたようなエッセイ風の話に、ちょこっと風刺が入っていたりするので、見方によってはドキリとするかもしれません。
♬お題参加中♫
今週のお題「買ってよかった2022」